劇団フライングステージ 第30回公演

ムーンリバー

  1979年 秋
  台風、ラジオ
  初めて聞いたゲイという言葉
  僕の初恋

フライヤー拡大画像↑

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2006年8月9日(水)〜13日(日)
中野 ザ・ポケット
JR中野駅南口徒歩5分 中野区中野3-22-8
TEL 03-3381-8422 / 3382-1560(ロビー・当日のみ)

8月

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13

14:00

18:00

19:30

平日19:30開演 土曜日14:00開演と18:00開演 日曜日14:00開演(開場は開演の30分前)


   作・演出:関根信一
     出演:関根信一
        石関 準
        小林高朗
        野口聖員
        早瀬知之

        阪口拓也
        ますだいっこう
        東じゅんぺい
        羽田 真

        加藤記生
(宇宙堂)
        木村佐都美(おちないりんご)
        西田夏奈子

        大門伍朗
     美術:小池れい
     照明:福田さやか
     音響:樋口亜弓
     衣裳:石関 準
   舞台監督:笹原千寿
   宣伝美術:佐久間記代子
   宣伝写真:サトウカオル

    稽古場:にしすがも創造舎
     助成:芸術文化振興基金
     制作:劇団制作社
プロデューサー:樺澤 良
     製作:劇団フライングステージ

■チケット:全席指定 前売り 3500円 当日 3700円 

■チケット取り扱い
○劇団フライングステージ先行予約 2006年6月25日(日)12:00〜27日(火)
 
(劇団制作社WEB予約)
 ◇電話予約:03-5949-4691(12:00〜18:00)
 ◇FAX予約:03-5949-4691(25日12:00〜27日23:30)
  ※お名前、日時、枚数、TEL、FAX番号を明記して下さい。

○一般発売開始 2006年7月9日(日)
 ◇チケットぴあ:0570-02-9988(音声認識 Pコード:369-894)
         0570-02-9999(演劇専用オペレーター対応)
 ◇イープラス:eee.eplus.co.jp/(PC、携帯)

 ◇劇団フライングステージ FAX予約:03-5949-4691
  ※お名前、日時、枚数、TEL、FAX番号を明記して下さい。
 ◇劇団フライングステージ 電話予約:03-5949-4691
  ※留守電になっている場合は、お名前、日時、枚数、TEL番号をお知らせ下さい。
 ◇劇団フライングステージ メール予約
  ※お名前、日時、枚数を明記して下さい。

 ◇劇団制作社WEB予約

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 初めて「ゲイ」という言葉を聞いたのはいつだったろうと考えると、あいまいな記憶は二十数年前、僕が中学生だった頃にさかのぼります。

 おすぎとピーコさんがテレビに出演しているのを見ては、なんだかかっこいいなあと思ったり、東郷健さんの選挙演説を見ては、複雑な気持ちになったり。

 受験勉強の合間になんとなく聞いていたラジオ番組「スネークマンショー」。水曜日担当のタックさんこと大塚隆史さんの、「ゲイのみなさん、こんばんは」という番組の始まりのあいさつが、僕が初めて聞いた「ゲイ」という言葉だったかもしれません。

 「ゲイって何?」という素朴な疑問が、「僕もそうなんだ!」という確信に変わるのにそう時間はかからず、そして、僕はようやく自分の居場所を見つけたような気がしたものでした。

 今のように胸を張って「僕はゲイです」とはなかなか言えなかったあの頃ですが、それでも今につながるゲイリベレーションの芽はあちこちに芽生えていたはずです。そのひとつがラジオから聞こえるタックさんの声だったと思います。

 今回の「ムーンリバー」の舞台は、そんな昭和五十年代の川に囲まれた下町。男の人が好きな自分に気がついてしまった少年と「もっと女の子らしくなりなさい」と言われる女の子、彼らの両親、校内暴力といじめに揺れる下町の中学校の教師と生徒たち。そんな人たちのどこかなつかしい群像劇をごらんいただきましょう。

 今回もゲイテイスト満載、しかけたくさんで、にぎやかにお送りします。ご来場をお待ちしています。 

関根信一  

 梅雨模様の雨空&曇り空が続き、うっとうしい毎日のこの頃ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか?
 いつも劇団フライングステージを応援いただき、ありがとうございます。
 「ミッシング・ハーフ」に続く、今年2本目の新作第30回公演「ムーンリバー」のご案内をお送りいたします。
 ゲイとして生きることをあたりまえのように受け入れた登場人物たちが、その上でどんな葛藤やドラマを抱えているかを描く舞台が多かったフライングステージですが、今回の「ムーンリバー」は、そもそも「ゲイ」という言葉にまだなじみのなかった時代、その時代に生きる「中学生」を主人公にした物語です。
 「自分はいったいなんなんだろう?」という問いは、ゲイのみならず誰もがかかえる思春期特有の甘酸っぱい葛藤かもしれません。そんな青春と初恋のナイーブな、同時にとっても大胆な子供と大人たちのコメディをお目にかけたいと思います。
 出演は、劇団員の石関準、野口聖員、早瀬知之、小林高明に加えて個性豊かな客演陣をお迎えしました。一昨年の「約束」以来のますだいっこう、西田夏奈子、「贋作・Wの悲劇」の木村佐都美、劇団宇宙堂からは加藤記生。そして、今回初出演のイイ男たち、舞台、映像で活躍中の阪口拓也、東じゅんぺい、羽田真。前回公演「ミッシング・ハーフ」で圧倒的な存在感が記憶に新しい大門伍朗に、作・演出の関根信一ももちろん出演いたします。
 また、フライヤーで紹介している「スネークマンショー」の音源を、タックさんこと大塚隆史さんのご協力により、劇中で使用できることになりました。僕たちゲイにとっては「伝説」のラジオ番組をどうぞ劇場でお聞きください。
 なお、今回の舞台は文化庁の芸術文化振興基金の助成を受けることとなりました。L&G映画祭につづいて、フライングステージもようやく認められつつあるのだと、関係者一同大いに喜んでいます。
 チケットは、別紙の先行予約と一般予約のご案内をごらんの上、ご予約ください。
 今回も、全席指定席となっています。ザ・ポケットは全席椅子席の大変見やすい劇場ですが、ご予約いただいた順に良いお席をご用意させていただきます。
 みなさまのご来場を心よりお待ちしています。

 2006年6月吉日
 劇団フライングステージ    

<ご挨拶>(当日パンフレットより)

 これからご覧いただく「ムーンリバー」の舞台は1979年、昭和54年です。
 台本の冒頭のト書きに書くように、この当日パンフのご挨拶で書いてしまうのは、ややずるい気がしないでもないのですが、フライヤーにも書いてしまっているので、どうぞお許し下さい。
 劇中にもいくつかの時代を示すあれこれが登場します。僕は間違いなく、この時代を生きてきたはずなのに、振り返ってみると、こんないろいろが同じ一年にあったのだと、改めて驚くことばかりでした。
 実を言うと、僕は、その頃の記憶があまりありません。当時、中学3年生だった僕の記憶は、そのほとんどがテレビや映画のことばかりで、政治や経済のことは、あとから、「ああ、そうだった」と学習したくらいです。というわけで、劇中に登場する子ども達の話題も、もっぱらそんなことばかりになってしまいました。
 僕の記憶にある昭和59年というのは、テレビで「3年B組金八先生」の第一シリーズ(杉田かおるが中学生で妊娠。相手は鶴見辰吾。クラスメートは、マッチにトシちゃん、ヨッちゃんのたのきんトリオに、三原順子、小林聡美)が放送されてた年という印象でした。そこで、思いついたのが、金八先生と同時進行する、金八先生の舞台になる下町のほんとにすぐ近所を舞台にした、もう一つの中学生のお話を書いてみようという企画。
 ところが、資料を調べてみてわかったのは、金八先生の第一回放送は、79年10月26日。翌年の3月までの放送ということで、微妙に、描いてみたい時期とはずれていることが判明しました。
 一年間、同じ中学三年生としてリアルタイムに見続けた記憶があったのですが、半年間のドラマだったのですね。記憶というのは、ほんとにいいかげんです(僕は特にそうでしょう)。
 金八先生の第一シリーズではまだ登場しない、荒れた学校、校内暴力、登校拒否といったことを、今回、書いて演出しながら、忘れていた当時の空気感がよみがえってきました。そして、ああ、だから、僕はこの時代を覚えていなかったんだと、初めて納得がいったような気がしています。
 今を描くのではなく、過去の、それも忘れていた、忘れていたかった過去を描くというのは、僕には初めての経験で、何度も何度も行き詰まり、出演者、スタッフのみなさんには、ほんとうにご苦労をおかけしました。どうもありがとうございます。
 そして、ラジオ番組「スネークマンショー」の音源を快く提供していただいた、ゲイとしての大先輩、大塚隆史さんにもこの場を借りて、お礼申し上げます。
 僕にとって、おそらくはフライングステージにとっても原点といってもいいこの時代の空気感をなつかしんでいただきながら、当時まだ生まれていなかった世代のみなさんには「へえ、そんなだったんだ」とおどろきながら、ゲイにとってのこの時代に思いをはせていただけたらと思います。
 本日はご来場ありがとうございました。最後までごゆっくりご覧下さい。

 関根信一


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