「オープニング・ナイト」稽古日記

第2週(7/31〜8/6)

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 8月2日(水)

 稽古3回目。
 フライングステージの稽古は、いつもなんとなくだらだらと始まる。
 今日も、一人一人勝手に柔軟やストレッチをしながら、このあいだの東京ディズニーランドはどうだったとか、そんな話をみんなでしてて、「じゃ、そろそろやろうか」ってなかんじでようやく始まった。
 今日の稽古場はとっても狭くて、その狭い中に、男子が10人もいるとかなり「男子演劇部」なかんじだ。
 TDLや、毎日のバイトのせいで、みんな、いつのまにか、こんがりと日焼けしていて、「男子」感は5割増しになってるかもしれない。
 基礎トレ(?)的なゲームの後、初めて台本を読んでみることにする。
 といっても、改訂版の台本はラストまではできていなくって、とりあえずあるところまで。
 今日は、若林さんが仕事が終わらなくってお休み。劇場主の木澤の役は、初演と同じ高市にやってもらう。
 一人だけ、今日初めてこの台本を読んでみることになる内藤役の森川くん。
 何にも言わないで、「ま、読んでみよう」ということでやってみた。
 初演から1年4ヶ月。増田、岩井、早瀬、吉岡、高市の5人は、初めての「再演もの」。一度自分が舞台でやった役をどう「読んで」ってくれるのか、とってもわくわく聴かせてもらった。
 僕は、どうしても「初演」をなぞってしまうのだけれど、それでも、今回初顔合わせの森川くんがどう出てくるか、それに合わせてやってったら、ずいぶん違った芝居になってってた。
 森川くんは、とっても慎重にそして丁寧に役を追ってってくれて、いいかんじだ。
 これからどうなるかは、わからないけど、楽しみなことは間違いない。
 せっかく再演するんだから、初演よりずっといいものにしたいし、今だからできるんだってことを大事にしたいと思う。
 森川くんと若林さんと一緒に芝居ができるってことも、最大限に利用させてもらうつもり。一緒に芝居してる誰かがいるから、自分一人じゃ思いもよらないところに行けてしまったりする。
 今度は、いったいどこまで連れてってくれるか、もとい、どこまで一緒に行けるか。いろいろ試してみようと思う。
 新作の「台本あるとこまで」の読みとは違って、今日の読み合わせは、1時間32分。この調子なら、2時間10分の予定通りには終わるんじゃないかと思う。
 今度の稽古は、8/5(土)、若林さんの木澤で、もう一度読み合わせをやって、日曜からは立ち稽古をどんどん始めていこうと思う。

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 8月5日(土)

 今日、ひさしぶりに「海」に行った。
 僕は、「TOGETHER」というゲイコミュニティをやっているのだけれど、そのグループの「海水浴」企画で鎌倉の由比ヶ浜に行ってきたのだ。
 昼間の海でちゃんと水に入ったのは、昔々、まだ幕張メッセのあたりが遠浅の海だった頃だから、ほんとに30年ぶりくらいになる。
 それでも、思う存分、泳いじゃうってのは、いまいち苦手なので、短パンをはいて、波打ち際を歩いて、波と戯れ、結局、びしょびしょに濡れてしまった、
 由比ヶ浜の海は、さすがに夏の土曜日で、カップルや親子連れがたくさん。いかしたライフセーバーのお兄ちゃんなんぞを鑑賞しつつ、半日をぼんやりと過ごしてきた。
 相変わらずヒゲ面の僕は、「ヒゲのまんま日焼けすると、剃ったとき、そこだけ白くなるよ」という忠告をまる無視して、どんどこ焼けてってます(顔だけ)。
 で、稽古4回目。
 今日は、木澤役を若林さんにやってもらっての読みの通し。といっても、まだ途中までなんだけど。
 2回目の読み合わせということで、みんながそれぞれ「やりたいこと」をやってしまって、「みんなでやってる」ってかんじからは、少し遠くなったかもしれない。
 でも、毎回の稽古は、こんなことの繰り返し。一人一人の試行錯誤と、様々な紆余曲折があって、どうにか初日にたどりつく。
 若林さんの木澤役は、当たり前だけど、うちの高市とは全然違う。
 演出で二人とも同じキャラにするつもりはないし、全然違うことをやってもらおうとも思ってない。
 ただ、二人ともとっても「濃ゆい」人なので、どうなるかとっても楽しみだ。
 若さんと台詞のやりとりをするのは、十五年ぶりくらいかな?
 当たり前のようにやりとりしてるんだけど、そんな久しぶり感が、なんかよかったな。まんま、劇中のシチュエーションにもなっててね。
 今日は(も)、読み合わせの前に、エチュードで「お話聞かせて」をやってもらう。「わらしべ長者」と「ジャックと豆の木」。
 例によって、とんでもない話になったけど(「わらしべ長者」は、朝起きると、一本のわらしべがなぜか「増えて」るっていう怪しい話に。「ジャックと豆の木」は、ジャックがビールのつまみに食べてた枝豆をまいたらどんどん芽が出てきたとかいうものに)、5人で10分を語りきるというのは、聞いてるだけでもとってもスリリングだ。
 もう少し「あざとく」なったら、まずいなという、一歩手前のところで、かなりな真剣勝負(ていうか、誰もほんとの話がわかってないので‥‥)になってて、なかなかいいかんじ。
 芝居の中のやりとりも、こんなふうにハラハラドキドキになるとおもしろいよね。
 次の稽古は明日、8/6(日)です。
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 8月6日(日) 

 稽古の前に、新宿のタックスノットでの「リーディングのつどい」(?)に出かけてきた。
 タックスノットのマスター、タックさんこと大塚隆史さんと「売男日記」のハスラー・アキラさんと、ますだいっこう氏が、それぞれの手になるテキストetcをリーディングするというもの。
 タックスノットは、とってもこじんまりとしたカウンターバーなので、読み手の3人はカウンターのなかで「店子(ミセコ)」状態。「何だかウリ専みたいねぇ」とタックさんが言ってた。
 6時30分の開演時間には、カウンターの椅子席とその後ろの立ち見(立ち聞き?)席は、ぎっしりいっぱい。とってもドキドキする不思議な緊張感の中、リーディングは始まった。
 初めはタックさんの「二丁目からウロコ」。タックさんのこのエッセイは、とってもいい本。「新宿二丁目」ってもの、「ゲイ」ってものを、ほんとにわかりやすく、あったかい視点で書いてくれてる。
 僕にはほとんど「愛読書」なんだけど、そんな本を、作者自らが読んでくれるっていうんだから、これは聞かないわけにはいかないよね。
 目で読むのと、耳で聞くのとはこんなに印象が違うんだっていうのが、おもしろかった。それは、何度も読んでるはずなのに、とっても新鮮に聞こえたから。あれ、こんなこと書いてたんだって‥‥(ごめん)。
 タックさんの声のトーンも、普段の声より、少しだけ、高くてかわいらしかった。伏し目がちに、ページを追ってるかんじもね。
 続いて、いっこう氏。彼のリーディングは、年末のgaku-GAY-kaiでも聞いてるんだけど、これだけ間近でっていうのは、やっぱり違ったおもしろさがあった。
 しかも、僕は、途中で帰らなきゃならなかったんで、ほとんどドアボーイ(ガール)。聞き手と間近に向き合ってる読み手の姿を、真横から聞き手もろとも見ることになって、そんな、舞台袖から舞台を見てるみたいなかんじが良かった。むちゃくちゃ緊張してるいっこう氏のリーディング姿もとっても新鮮だった。
 で、最後が、ハスラー・アキラくん。HPでも紹介した「売男日記」(これはやっぱり「ばいた日記」って読むんだって)を、ほとんど全部読んでくれた。これもまた、僕の愛読書なので、作者がどう読んでくれるのか、ドキドキワクワクしてた(ていうか、僕はアキラくんの、ファンなので)。‥‥やっぱり、よかったよ。もう、ものすごく「ただ読んでる」だけなんだけど、その中から、テキストがちゃんと立ち上がってくるのがとてもよくわかった。彼が書いたテキストもとっても「特別な」ものだと思うけど、それを読んでる彼もやっぱり「特別な」存在なんだなあと、聞きながらずっと考えてた。
 半分くらいまで聞いて、こっそりとドアを開けて、僕は、稽古場へ向かった。僕がドアを開ける間あいを、さりげなくはかっててくれたアキラくん、どうもありがとう。
 で、稽古5回目。
 今日も、いろんなゲームをしてから始めてみる。
 台本の頭から立ち稽古の予定だったんだけど、野口が欠席だったので、急遽予定を変更して、オープニングの場面づくりのためのエチュードをしてみる。
 芝居の中に登場する、サルトルの「キーン」の台詞「人はパンのために芝居をするんじゃない云々」というのを、今日のメンバー8人で割って、みんなで一つの台詞を作り上げていってみる。
 まずは、相手にきちんと語りかけるところから。続いて、背中合わせに丸く座って、「外」に向かって。部屋の中を自由に歩きながら。最後には、台詞が終わった時の、全員のポーズをあらかじめ決めて、各自が台詞を言いながら、そこに「たどりつく」というのをやってみた。
 「オープニング・ナイト」の始まりは、いろんな芝居のいろんな台詞を、みんながてんでにしゃべってるところで始まる。
 今日の稽古場はとっても狭かったので、ダイナミックな動きにはならなかったんだけど、なんとなく、雰囲気は感じてもらえたんじゃないかと思う。
 稽古の後、森川くんと一緒に、タックスノットに戻る。
 いっこう氏、タックさん、それにアキラくんといろんなことをおしゃべりする。
 ほとんど稽古の後で飲みに行かないフライングステージでは、わりと珍しいことだ。
 さっきまでリーディング会場だったカウンターで、「オープニング・ナイト」の話をしてる。
 大好きなタックスノットのカウンターだけど、また新しい意味と味が加わったかんじだ。次の稽古は、8/9(水)。

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劇団フライングステージ第18回公演「オープニング・ナイト」

2000年9月16日〜17日 東京芸術劇場 小ホール2



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