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劇団フライングステージ第33回公演

「ジェラシー 〜夢の虜〜」「ミッシング・ハーフ」

2008年1月24日(土)〜2月1日(日) 下北沢 駅前劇場

作・演出:関根信一

出演

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「ミッシング・ハーフ」

日下部そう(ポリン記憶舎)

関根信一

大門伍朗

「ジェラシー 夢の虜」

高山奈央子(KAKUTA)

関根信一

石関 準 岸本啓孝

日下部そう(ポリン記憶舎)

相楽満子(青年劇場) 加藤 裕(クロカミショウネン18)

遠藤祐生 岡田梨那

藤 あゆみ

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■ 公演日程:2009年1月24日(土)〜2月1日(日)

■ 会場:下北沢 駅前劇場

  京王井の頭線・小田急線「下北沢」駅徒歩0分(南口正面)
  世田谷区北沢2-11-8 TAROビル3F TEL 03-3414-0019

■ チケット取り扱い

【劇団先行販売】2008年12月6日(土)10:00〜8日(月)24:00

  WEB予約 ←こちらからどうぞ(12月6日〜)

【一般発売】2008年12月14日(日)10:00〜

  ・WEB予約  ・イープラス 
  ・チケット専用電話 090-5757-3432(制作 10:00〜20:00)

※「ミッシング・ハーフ」のご予約は劇団扱いのみとなります。

■ チケット料金

 前売り 3,500円 当日 3,800円(全席指定席)
 2演目セットチケット 6,500円

【先行予約特典】

 ペアチケット(同作品を2名様でご観劇)……6,500円(先行予約のみ)

【無料公開ゲネ開催】

1月24日(土)19:00開演の「ジェラシー」のチケットをご購入いただいた方を対象に、24日(土)14:00開演の「ミッシング・ハーフ」のゲネプロへご招待させていただきます。ご予約いただいた方に劇団からご案内を差し上げます。なお、写真撮影、VTR撮影等の機材が入ることを御了承下さい。

14:00

19:00

19:30

1月

24日

25日

26日

J*

27日

J*

28日

J*

29日

30日

31日

2月

1日

 ●: 公開ゲネプロ 
 J:「ジェラシー 夢の虜」
 M:「ミッシング・ハーフ」
 *:アフタートークあり。
  26日(月)19:30開演 鈴木理映子氏×小林靖弘氏×関根信一
  27日(火)19:30開演 溝口彰子氏×関根信一

  28日(水)19:30開演 「ジェラシー 〜夢の虜〜」ALL CAST

  受付開始:開演60分前 開場:開演30分前

お問い合わせはこちらまでどうぞ

*1月26日(月)鈴木理映子氏×小林靖弘氏×関根信一

・鈴木理映子……シアターガイド前編集長 ・小林靖弘……シアターガイド現編集長

数多くの作品を世に報じる上で「物語」を鋭く読み解き、さまざまな「手法」について思考を広げてきたシアターガイド新・旧編集長を迎え、演劇における男装、女装のありようについて、関根信一が古今東西の舞台を掲げつつ、思うままのジェンダー議論を展開いたします。

*1月27日(火)溝口彰子氏×関根信一

・溝口彰子……やおい研究家。ビジュアル&カルチュラル・スタディーズPhD。1992-8年、レズビアンとバイセクシュアル女性のためのセンターLOUD(東京・中野)創設など、レズビアン・コミュニティで活動。現在、法政大学、多摩美術大学、共立女子大学、明治学院大学非常勤講師。

「新・こころ」でもアフタートークゲストとしてご参加いただいた溝口彰子氏と関根信一が"やおい的視点"より男装・女装のありようについて議論いたします。

*1月28日(水)「ジェラシー 夢の虜」オールキャスト

・高山奈央子×日下部そう×藤あゆみ×加藤裕×相楽満子×遠藤祐生×岡田梨那×石関準×岸本啓孝×関根信一

出演者全員によるトークショーです。「ジェラシー 夢の虜」のバックステージについてのトークをお楽しみください。

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スタッフ

作・演出/関根信一 美術/小池れい 照明/黒尾芳昭(Azure) 音響/はらことり
舞台監督/イワヲ 衣裳/中西瑞美 振付/清水美弥子 中国語指導/シム チュン キャット
宣伝美術/宝田朝(office regina) 舞台写真/サトウカオル 大道具/王様美術 小道具/高津装飾美術株式会社
印刷/東京書籍印刷株式会社 撮影/TRICKSTAR FILM
助成/芸術文化振興基金
制作協力/早瀬知之 水月アキラ 制作/坂田厚子 三枝 黎 制作統括/樺澤 良
企画・製作/劇団フライングステージ
協力/ノックス KAKUTA プリッシマ ポかリン記憶舎 青年劇場 クロカミショウネン18 G-up 劇団制作社

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●再演のお知らせ●

 「ジェラシー 夢の虜」の後日譚にあたる物語「ミッシング・ハーフ」を「ジェラシー」と同じ舞台装置で再演します。
 舞台は1940年の上海、落ちぶれたサイレント映画の女形スター川野万里江と映写技師が繰り広げる、再起をかけた闘いの物語を、日本で最初に公開された字幕スーパー付き映画「モロッコ」になぞらえて描きます。中国人の執事、宦官の処置人、歌舞伎界の名優四世澤村源之助、甘粕正彦の四役を、初演につづき、大門伍朗が演じます。
 「失われたかたわれ」を探す人々の濃密なドラマをどうぞご覧下さい。

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【上演記録】劇団フライングステージ第29回公演「ミッシング・ハーフ」
 作・演出:関根信一 出演:関根信一×森川佳紀×大門伍朗 日程:2006年4月19日(水)〜27日(木) 会場:サンモールスタジオ
 2006年サンモールスタジオ最優秀作品賞・同女優賞受賞(関根信一)

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 2006年に初演した「ミッシング・ハーフ」の舞台は1940年の上海で、川野万里江というヒロインが登場する。彼女は、サイレント映画の女形俳優だったが、トーキーの登場とともに仕事を失い、再起を図って大陸に渡り、「宦官」の手術を受け、「女優」としての再デビューを夢見る。
 万里江ことマリーさんは「サンセット大通り」「雨に唄えば」といった映画を見るうちに、きっといたんじゃないかと思うようになった架空の人物だ。架空の人物だけれど、ずいぶんいろいろなことを調べた。戦前の映画のこと、当時の中国、上海のことなどなど。
 いろんな資料にあたっているうちに出会ったのが、川島芳子という人物だ。彼女は、清朝の王女として生まれながら大陸浪人の養女となり「男装の麗人」として日本と大陸を往復し、「東洋のマタ・ハリ」と呼ばれた。
 僕が生み出した「女装」のヒロインと、この「男装」の麗人が、どこかで出会ってるんじゃないか? そんなことはもちろんあるわけもないのだけれど、だったら、なおさら「出会わせてみたい」と思ったのが、「ジェラシー 〜夢の虜〜」の発端だ。
 史実によると1932年、川島芳子は上海に滞在している。川野万里江が上海にやってきたのもちょうどその頃の設定だ。川島芳子をモデルにして書かれた小説のヒロインの名前は「満里子」という。そうだ、この年、二人は出会っている。きっとそうに違いない!
 恋と戦争と映画の物語を、鳴り響くタンゴに乗せて描いてみよう。男装と女装、装い続け、演じ続けることを望み夢見たヒロインたちと、彼女たちをめぐる男たちの物語を。(関根信一)

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ご挨拶(当日パンフより)

 

「ジェラシー ~夢の虜~

 川島芳子のことを初めて知ったのは、有吉佐和子原作のテレビドラマ「開幕ベルは華やかに」だったと思う。川島芳子が主人公の舞台のバックステージで起こる殺人事件を描いたミステリー。といっても、2002年の正月特番のドラマとして放送された、浅野温子と風間杜夫が主演して、加藤治子が川島芳子を演じる大女優を演じたものではなく、1983年に原作が出版されたのとほぼ同時に放映されたドラマの方だ。主演は、中村敦夫に白川由美、川島芳子を演じる大女優は高峰三枝子だった。僕の中では「川島芳子」というとどうしても高峰三枝子が演じる姿が浮かんでしまい(!)、なかなか実際の川島芳子の顔はイメージできなかった。

 今回、ほとんど初めて様々な資料にふれ、川島芳子の写真を見た。思ったのは、一枚ごとに全然違う顔をしているということだ。ほぼイメージどおりの男装している写真、日本髪に結った着物姿、モンゴル式の花嫁衣装を身につけた姿、そして、晩年の質素な普段着、同じ人物とは思えないくらい、バラバラだ。

 そのことも今回の台本を書く上での出発点になったのかもしれない。

 「男装の麗人」という小説を書くために、村松梢風という作家が、上海の川島芳子の邸宅で二ヶ月を暮らした、という事実は、ほとんどの資料にきっちり書いてある。でも、そこでの暮らしがどんなものだったかは、僕が見たかぎりでは、どこにも書かれていない。

 「ジェラシー 夢の虜」は、その書いてなかったことを存分に書いてみた作品だ。史実には、ほぼ忠実に沿いながら、いくつもの大きな嘘を盛り込んだ。人物たちの息づかいや足音をかんじながら。いまでは、この2ヶ月を誰もがちゃんと書いてくれなかったことに、とても感謝している。おかげで、年表を追うような一生の物語では描けなかった彼女に出会うことができた。

 最近、川島芳子が生きていたというニュースが報道された。処刑されたのは身代わりで、本人はひっそり戦後を生きていたというのだ。嘘か本当か、すでに彼女がなくなってからの報道なので、真偽のほどはわからない。

 いずれにしろ、今はもうこの世にいない川島芳子が、僕にはとても身近に感じられるようになった。どれが本当かわからない彼女の顔、そのわからなさこそが、彼女なのだろう。だが、そのどの顔の裏側にも、底知れない寂しさが潜んでいるように思えてしかたない。

 

「ミッシング・ハーフ」

 ミュージカル映画「雨に唄えば」は大好きな作品だ。映画がサイレントからトーキーに移り変わる過渡期に、声の悪い大女優の声だけを演じることになる新人女優が、最後には大スターになる。ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナーの演技が楽しい。でも、いつしか、声の悪さでスターの座を奪われる女優リナ・ラモント役のジーン・ヘイゲンがとても気になるようになっていた。

 サイレントからトーキーへの移り変わりという話を最初に目にしたのは、市川崑が撮った横溝正史原作の金田一耕助シリーズ「悪魔の手毬唄」だ(主演は岸恵子!)。物語の根幹に、トーキーの登場によって職を失った活動弁士が登場する。そして、映画の中で断片が映し出されるのが、日本で公開された字幕(スーパーインポーズ)付映画第一作の「モロッコ」だった。

 日本映画の草創期、映画には女形の俳優が多数出演していた。「女優」というものが生まれたのは、1908年に川上音二郎が帝国女優養成所を作って以来。まだ100年の歴史しかないことになる。1919年9月に花柳はるみが「深山の乙女」「生の輝き」に出演したのが、「女優」というものがスクリーンに登場した最初なのだそうだ。

 それまでは当然のように女を演じていた女形たちは、女優が女を演じるのが当たり前になっていく時代の変化の中、どうしていったんだろうか?というのが、「ミッシング・ハーフ」を書き始めた最初にあった思いだ。

 女形をやめて成功した人物としては、映画監督の衣笠貞之助がいる。では、成功できなかった人はどうしたんだろう?

 サイレント第一作の「モロッコ」。モロッコという国の名前には、タレントのカルーセル麻紀さんが性転換の手術を行ったところというイメージも強くある。

 落ちぶれたサイレント映画のスターという存在は、ビリー・ワイルダーの「サンセット大通り」でも鮮やかだ。グロリア・スワンソン演じる女優、ノーマ・デズモンドは、世界的に有名な、ゲイが大好きなキャラクターの一つになっている。

 そんなこんなの吹き寄せ、寄せ集め、不思議なつながりが「ミッシング・ハーフ」という作品になった。

 たしかに生きていたという証はどこにもない、でも、もしかしたらいたかもしれない、いや、きっといたにちがいないと思いたい、そんな名前も記録もない多くの彼ら、彼女たちに、この作品を捧げたいと思う。

 

 本日はご来場ありがとうございました。最後までごゆっくりご覧下さい。

                                                       関根信一