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8月16日(木)
阿佐谷の稽古場へ行く途中、ふっちーからメール。「太子堂に着くのは、8時頃になります」。大急ぎで「今日は阿佐谷よっ!」と返信する。
毎日あちこちの施設を転々とするジプシー稽古なので、稽古場を間違ってしまうことは、わりとよくある。
三軒茶屋には太子堂と下馬と2カ所の稽古場があるのだけれど、この二つを間違えるのは、まだまだだいじょぶ(?)な方。
下馬と荻窪を間違えたりすると、もうぐったり&何もかもイヤになって、そのままどこかに行ってしまいたくなる。どちらの稽古場も最寄り駅からかなり歩かなくてはいけない不便なところにあるので。
そういう勘違いは、しかも稽古が追い詰まってきた「初日まで1週間!」ぐらいの時に多発する。
その頃になると、みんな自分の衣装を抱えてたりするので、途方にくれる感は「さらに倍!(by大橋巨泉@クイズダービー)」。
でも、今日のふっちーは、連絡が間に合って、太子堂に行ってしまうこともなく、無事に阿佐谷に来ることができました。よかった。
そのかわりというわけじゃないんだけど、今日はとしくんが急にNG。
仕事がどうしても終わらなくなったんだそう。
留守電の声がすっごい申し訳なさそうで辛そうだった。
今日の稽古は、昨日の続きの、本当に帰った家の場面を、としちゃんも交えてと思ってたんだけど、としちゃんがいないんでどうしようか考える。でも、結局、ふっちーに代役をやってもらって、どんどん先に行くことにした。
その前の基礎トレは、さくさくと。
稽古が追い詰まってというか、初日が近くなってくると、みんなが「基礎トレよりも芝居がしたい!」モードに変わっていく。
まあ、当たり前なんだけど、この変わっていくかんじを見てるのは、とってもおもしろい(ごめん)。
微妙に集中の仕方が変わってくるから、昨日までできてたことができなくなってたりね。
集中してないってわけじゃないんだけど、どこか、少し浮き足だってくるみたいなかんじ。
あと何日かすると、これがまた落ち着いてくる。
そのへんのみんなのチーム感のゆらぎを何度も見ていると、そのペースがみんな揃ってるのが、とても不思議でおもしろい。
調子のいい人とそうじゃない人がいるのが自然な気がするんだけど、調子の悪いときはみんな揃っていまいちになってる。
今日の稽古場の「やや焦ってる感」も、全員から「早く稽古しようよ!」という声が聞こえてくるような気がした。
だったら基礎トレなんてなしで稽古だけをすればいいようなもんだけど、今回は、やっぱり「みんなで」アップしてから始めたい稽古をと思ってるんで、さくっと基礎トレ。そして稽古。
1場の終わりの劇中劇のやり直しの場面から2場へかけて。
今日も全員の位置を確認しながら動いてってもらう。
話の中心はどこなのかとかね。
気が付いたら、全員できれいに半円形に並んで、客席に向かっちゃってたので、それはやめましょうとお願いする。「ラ・マンチャの男」のラストを思い出しました。なぜか。
一番微妙なキャラのマミーの役をいっこうちゃんの「コバンザメ」のような人にしてちょうだいと話す。
いっこうちゃん演ずるベリンダさんが一番手だとしたら、マミーのマルガリータさんは二番。そして、僕のサンドラはずっと下の三番目だってことをはっきりわかるようにしてもらう。
1場の最後はぼくと郡司くんの二人の場面だ。
この場面の郡司くんにいろいろとお願いをする。
初演のときの僕の役は、ただドラァグクィーンだというだけで、ある「強さ」があったんだけど、今回は、そうじゃなく、とっても「かっこわるい人」にしたいと話す。
そんなサンドラさんをある意味、引っ張っていく勢いがほしいと。
ただのインタビュアーのフリーライターである石井くん(郡司くんの役)がどうして、そうなってったのか?というのを、芝居のラストまで続く大きな目的(?)にしたいと思ったから。
とにかくああだこうだいっぱいしゃべって、郡司くんに「しゃべりすぎる演出家でごめんね」と謝る。
郡司くんは「だいじょぶ」と言ってくれた。
本当ならそこを早速小返しするところなんだけど、今日は、先に進みたいのでまた明日。
続く、2場の「帰ってった美容室」の場面と「ペットショップ」の場面は動きをさらう程度で、次のゲイナイトの楽屋の場面へ。
ここもみんがよってたかってしゃべる場面。動きを確認していく。
みんなとっても工夫してそれぞれいろいろやってるんだけど、そのせいで、話の折り返し点になるいっこうちゃんのセリフを全然聞いてないということが「発覚」。
よろしくお願いね!と言ったところで今日はおしまい。
いっこうちゃんと酒部@ホーム飲み。
中央線の高いホームに立ってると、吹いてくる風はもうひんやりと涼しいくらいだ。
夏がどんどん終わってってるのかもしれないね。
初日まで、あと13日!
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8月17日(金)
朝から、「ファッションチャンネルニュース」の録音。「01-02秋冬パリ
オートクチュール コレクション」を2本。
いつもの中出順子さんにかわって、テレビ東京「ファッション通信」のチーフプロデューサー山室一幸さんが今日は解説をしてくれる。
山室さんは、「オートクチュール」に対して、すっごい熱い思いを持ってる人で、実際に舞台裏にいなきゃわからないとっておきの話や、デザイナーとのおしゃべりの様子なんかを、いっぱいいっぱい話してくれて、とっても楽しい収録になった。
久しく「冬の時代」と言われてたオートクチュールだけど、今シーズンはとってもイカしたメゾンが勢揃いして、まさに「復活」ってかんじ。
アレクサンダー・マックィーンから老舗ジヴァンシーを受け継いだ若手ジュリアン・マクドナルド。東京のコギャルのガングロメークを導入(?)したジョン・ガリアーノのディオール。パワフルなベルサーチ。注目のロシアからの二人組、セルダン&ヴァシリエフ等々。
収録の合間に、改めてご挨拶をしたとき、どんな芝居をしてるのかって聞かれて、フライングステージの話をするついでに、カミングアウト。
そこから、デザイナーでゲイな人達の話をこれまたいろいろ聞かせてもらった。「へえ、そういう人がタイプなんだ……!」という驚きの情報もあったりして。
番組の最後のイヴ・サンローランのショーでは、数十年来の顧客であるマダムが、ショーを見ながら、実に嬉しそうな表情をしてた。「彼女は、このショーに自分のこれまでの人生をみてるんですよ」という山室さんの解説に、思わずほろっとしてしまった。
サンローランのオートクチュールは、メンズをエディ・スリマン、プレタポルテをトム・フォードにまかせてしまったこのメゾンで、イブ・サンローラン自身が手がける唯一のライン。数十年変わらないショーの形式と、そのラインの見事さ。
どんどん新しくなっていくオートクチュールのコレクションの中で、これだけは変わらないでいってほしいという、ファッション関係者全員の願いが集約されてるような、そんな素晴らしいステージでした。
地元のCATVで「ファッションチャンネルニュース」が放送されてる人はどうぞ観てみてくださいね。デザイナーのアウティング話(!)はナシですけども(笑)。
その後、まみーと一緒にお買い物リベンジ。待ち合わせにやや失敗したんだけども「奇跡的」に合流成功。
原宿の「ベビードール」でストッキングとつけまつげをゲット。
新宿の「三光白衣」で、よしおが着る作業着をゲット。「オカダヤパールピンク」でガーターベルトをゲット。
今日は完璧だね。
で、夜は稽古。
後半をラストまで。明日予定してる通し稽古に向けて固めていく。
みんなとっても疲れてきてるみたいだけど、さくさくやっていく。
初演では全然できなかった細かい稽古を今回はずいぶんやってる気がする。
いい意味での「勢い」とは反対の地道な「作っていく」作業は、「これでいいんだろうか?」と時々考えてしまったこともあったんだけど、だいじょうぶ、いい芝居に着実になってる。
稽古の後、帰りの京王線の車中で、「女性専用車両」になってると誰かが言う。
たしかに僕等以外はみんな「女子」だった(笑)。
まみーは、買ったばかりのガーターベルトをいわいわに見せてるし。やめて!ってかんじ。
その後、僕は二丁目で営業。
タックスノットで新人のまさるくんとわいわい話す。
こたくん、青山さんとも会えた。
ちょっとしゃべりすぎだったかな?
初日まで、あと12日!
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8月18日(土)
今日の荻窪の稽古場は駅からとっても遠い。
住宅街の真ん中を抜けるので、一度心配になって道を外れてしまうと、とことん迷うコワイところだ。
で、今日はいりーなが迷ってしまったらしい。
よしおが携帯で誘導するんだけど、なかなか来ない。
しばらくして来たとしくんが、「あ、あれいりーなだったんだ」と言う。
「よく似た人が前歩いてると思ったんだけど、左に曲がってったから違う人だと思った」って。
ようやくたどり着いたいりーなはその話を聞いて、「もう、言ってよ!」と叫んでた。
こないだ、早瀬くんと一緒に歩いて来たんだけど、おしゃべりに夢中で結局道は覚えられなかったらしい。それもどうよってかんじ?
で、稽古。
今日は、昨日やり残したところを確認していって、夜からの通し稽古に備える。
まず後半の大勢出る場面を固めていく。
続いて、ペットショップの場面をいろいろやってってもらう。
どうしても「調子」でしゃべってしまうのを、一人一人の個性を出してちょうだいと。動きも好きにやっていいよと話す。
「じゃ、今日の通しはこれでやってちょうだい」というのをとりあえず決めてみた。
ラストの全員の動きも音楽に合わせて作ってみる。
一瞬で、登場人物全員が「変身」していく、大好きな場面だ。
僕以外の全員が関わってるから、誰もちゃんと見れてないんだけど、だいじょぶだからね。すっごいいいものになってる。
そして、夜は通し稽古。
照明の鬼さんに見てもらいながら、音響の歩に音をあててもらいながら、僕たちは衣装を出来る限り着て、着替えの段取りを確認しながら、通してみた。
いろいろ問題はあるけど、とにかく通った。悪くないかんじ。
ダメだしは明日、改めて。
終わって、打ち合わせ。
その後、僕は、またしても二丁目へ出る。「今日行かないでどうするの」という制作の高市氏の「ご命令」でね。
「バックドラフト」「タックスノット」「ラピス」と行って、「ラピス」のエレベーターの前で、「部屋の鍵」がないことに気が付く。
高市氏に預けた衣装の入ったトランクにはいてたジーンズと一緒に入れてしまったんだ。
夜中にマミーを起こしてドアを開けてもらうのも申し訳ないので、朝まで時間をつぶすことした。
ファミレスで原稿……と思ったんだけど、結局中央線に乗ってしまう。
iBookからメールをさくさく送ってるうちに眠ってしまい、気が付いたら「拝島」(!)。
折り返して、ようやく帰ってくる。部屋に着いたのは8時40分でした。
今日は昼から稽古なのに。トホホ……。
初日まで、あと11日!
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8月19日(日)
午後&夜の稽古。
昼間は基礎トレ。
その後、みんなやっぱり疲れてるみたいなので、いつもの拍手を回したり、しりとりしたりというのを、「椅子に座ったまんま」でやってみることにした。輪になってね。
立っているのと椅子に座ってるのだと、全然違う。でも、こういうのもアリだよね。
続いて、「チーム対抗しりとり」をしてみる。
いりーなとまっすーのヤギーズに2つのチームのキャプテンになってもらって、じゃんけんで勝った方から、「相手のチームのメンバー」を選んでいってもらう。つまり「こいつはいらない」っていう人を相手に「押しつける」やり方。
5人ずつのチームで、僕は審判。
向かいあってすわってるかんじは、昔の「連想ゲーム」みたいだ。
チーム戦になると、いつもやってるしりとりが全然違うものになってくる。
ほとんどバレーボールみたいにね。
当たり前なんだけど、弱いところを集中的にせめていく人がいたり(主に郡司くん)、つまらない言い間違いでパスを失敗したり(いわいわ、まっすー)。
5点先取の2回戦で一勝ずつのひきわけ。
それから、みんなで昨日の通しのついてのダメだしをする。
頭から順番に、今日の夜の通し稽古の前に、確認しておきたいことをチェックしていく。
「ひまわり」という芝居では、音楽に合わせてしゃべるせりふがいっぱいある。
曲のあらかじめ決まった長さで、きっちり終わらないといけない。
一人の人がずっとしゃべってるんならいいんだけど、何回かあるそういう「難所」は何人もの人が順にしゃべってって、場面も変わって……というようなものだったりする。
セリフと音楽って、音楽に合わせていくと、どんどん遅くなってしまうから、音楽を聴かないでどんどんやればいいんだってことを、某演出家さんが言ってるのを聞いたことがあるんだけど、今回は、その反対。
「音楽を聴いてちょうだい」とお願いする。
音楽を聴きながら、この曲のこの転調のところで、このセリフのこの部分というふうにきっちり合わせていってもらうように。
他は出ハケの確認。
昨日いりーなに「間違えてたじゃん!」と言った登場のしかたを、いりーなが間違えた通りに変更する。
段取りの確認の他は、「もっともっといろいろやってちょうだい」ということを話した。
この芝居の最後の部分は、かなり「感情的」になってくるので、どうなるかやってみないとわからない。
そのわからなさを、大事にしたくって、「やってみたら、こんなふうになっちゃった」というのを積み重ねていきたくて、いっこうちゃんと早瀬くんには、「通しでやってみればいいよね」と話して、ひと休み。
で、通してみた。
今日の通しは、実質3回目になる。
音響の歩がいないので、出せる音だけをいろんな人間が交替で出してった。
「いろいろやって」と言ったお願いが効いたみたいで、みんなのびのびといろんなことをやってる。
突然、さっきまでの腰の低さを振り捨ててむちゃくちゃオヤジくさくなった、いわいわのモグ。
すっごい男らしいんだけど、「何なのそれは?」という芝居を「開発」しちゃったよしお。
腕白小僧みたいなヤツだったのに、今日は「だっちゅうの!」みたいな妙に可愛い猫になったしまった早瀬くんのクロ。
僕も、このところずっと追求してる「かっこわるさ」をずいぶんいろいろやらせてもらった。
後半は、僕と誰かというふうな二人の場面がけっこう続くんだけど、そのあたりが、ずっとずっと「真剣勝負」だった。
でも、勝ち負けじゃなくって、二人とも自分がやりたいことを初めから決めてるんじゃなくて、その時その時に相手からもらったもので、次につなげていく。そんな「しりとり」みたいな場面がずっと続いた。
おもしろかったよ。ほんとに。
もしかしたら、これは「やってる方」がおもしろいんで、見てみたら、結構そうでもないのかもしれないっていう一抹の不安はあるんだけど(本番の舞台ってそうじゃない? すっごいいい気持ちでやれてたのに、見てた人には何やってたのって言われちゃうみたいな。S・モームの「劇場」っていう小説の中にも、そんな場面があったよね)、昨日までの段取りと自分のしなきゃならないことに追われてた芝居とはもう全然違うものになってる。
みんなで作ってるっていう一体感が、すっごい気持ちが良かった。
1時間40分ちょっとで終わる。
昨日より伸びてるけど、全然大ジョブ。
決まってた「やり方」じゃないことをやってったら、その段取りじゃない分が伸びてるんだと思う。
この「新鮮さ」もそのうちにきっと「慣れ」に変わってってしまうんだろうな。
でも、同じことをやろうとしないでいい。まだ初日まで一週間ちょいあるんだから。
稽古の後、近所の公園で、花火大会を決行!
稽古場へ行く途中のディスカウントショップで、半値で売ってた「よいこの花火」セットをみんなで楽しむ。
こんな花火をしたのはもう十何年ぶりってかんじだ。
単純に楽しい。
帰り道、自転車を押してるいりーなに「今日みたいな通しの後はビール飲みたい!ってかんじだよね」と言われたんだけども、今日の酒部は、いっこうちゃんが休部で、僕ととしくんと二人の縮小バージョン。
初日まで、あと10日!
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8月20日(月)
としくんが急にNG。
「さくさく小返しして、通してみるか?」という、やや無謀な計画をたててたんだけど、一気に変更。
のんびりと基礎トレ、しりとり、それから、音に合わせての稽古というメニューに。
昨日やった、椅子にすわったまんまバージョン、拍手回し&しりとりを、今度は床にすわったまんまでやってみる。
立ってるより、ちょっとずるしてるかんじの、たらっとした姿勢で(正座or横座り)いろいろやってみる。
何気なく、ウエストをひねりながらなかんじが、ちょっとストレッチの続きなかんじ?
昨日に続いて、チーム対抗戦しりとり。今日は人数の都合で、僕も参加。
キャプテンはよしおと郡司くん。「この人はいらない」じゃんけんでチーム分け。僕は郡司くんチームに。で、なんだか昨日と同じようなチーム編成になりつつ、試合(?)開始。今日は郡司チームの2連勝。
で、稽古。
保健所の犬たちの場面。
歌ちゃんととしくんがいないんだけど、今日中にやっておきたかったことなので、細かく細かくいろいろやってってもらう。
音も合わせてみてね。
MDを操作するのは、僕だったりいわいわだったり。出番もあるので、結構大変。
それから、ラストの大きな場面転換を稽古。
全員がいるクラブの楽屋から、ぼくといっこうちゃんだけの美容室に変わる。
音楽の細かいきっかけに合わせて動く。ほとんど「振り付け」だね。
初演のときは、一応動きの段取りを決めたはずなんだけど、なかなかうまくやりきれてなかったところ。
今日は、とってもいいかんじにできあがった。
続いて、大ラスの音とセリフの合わせ。
行き当たりばったりの出たとこ勝負じゃなくて、きっちり同じところで芝居が終わるように、音のきっかけを確認しながら、何度もやってみる。
これでいいんじゃない!のができたところで今日はおしまい。
帰り道では、酒部長いっこうちゃんが復活。よかったね。
初日まで、あと9日!
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8月21日(火)
稽古前に、今日の稽古場=集会室を借りている地域区民センターの事務所から「台風が来てるので、時間延長をキャンセルしてもらうかもしれない」という連絡があったそう。
「その決定は何時頃知らされるんですか」とまみーが聞いたんだけど「さあ……?」っていう曖昧な答えだったそう。
台風大変だけども、延長なしの9時で終わるのと延長ありで9時45分で終わるんじゃ、全然違うもんね。
とりあえず、始める。
基礎トレをさくさくやって、8時から通してみよう!というところへ、としくんから今日も仕事場から抜けられないとの連絡が……。
ふっちーもいないし、歌ちゃんもまだ帰ってきてないので、キャスト2人分と音響係を交替でやるという、変則的な通し稽古を始めてみる。
で、今日の通しは、なんだかゆるかったな。
自分が本来やらなきゃいけないことの他に、あれこれやってるとどうにもテンションが下がってきたり、妙に緊張感がゆるんでしまったり。
代役で入るセリフと動きも、なかなかぴしっと決まらなくて。
芝居自体も、ややだれたかんじになってた。
みんなそれなりにやってるんだけど、何だか違うな?って思いながら芝居してるみたいな。
9時半に片づけ始めて下さい!っていう放送が入るんだけど、その時点で、まだ最後まで行けてなかった。
予定としては、一番最後の場面だけ残して終わるんじゃないかな?なんて、思ってたんだけど、芝居も少し伸びてたし、ムリして、ぎりぎりまでやるのもどうかと思ったんで、今日はここまで。
このところの「何でもやっていい稽古」がもしかしたら、このやや緊張感が薄れてくかんじに拍車をかけてるのかもしれない。
「何をやってもいい」っていうのびのびしたいい雰囲気があって、でも、みんな気持ちよく、いい緊張感をキープしながら芝居ができたら、最高なんだけどね。
外に出ると、風が変わってる。さっきまでの涼しい風が、妙にあったかいもわっとするのに。
台風来ちゃうんだね。
一息ついてPHSを見たら、歌ちゃんから、「成田に着いたよ」っていう留守電が入ってた。
3時半頃成田着の予定が、大幅に遅れて、稽古場に来るつもりだったのがだめになっちゃったって。
でも、無事に帰ってきてくれたことにほっとする。
うちに帰ってから、歌ちゃんと電話でやりとり。当日パンフの原稿を頼んで、明日の予定を話す。
明日からみんな揃って稽古ができる。
やった!!
初日まで、あと8日!
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8月22日(水)
今日の稽古から歌ちゃんが復活。
昨日休みだったとしくんにふっちーも今日はだいじょぶ。
久し振りな荒くんも来てくれて、全員集合!になった。
さくさくと基礎トレをやってから、歌ちゃんととしくんがいない間に決まった段取りを伝えて、通してみる。
アップする時間が短くて始めた稽古は、やっぱりどこかすかすかしてる。
でも、「あ、今、芝居が立ち上がった」って思える瞬間がいつもある。
今日は、僕といりーなの二人の場面だった。
劇中劇の始め、ドラァグクィーン姿の僕が突然帰ってきてしまって、さあどうしようかとあれこれ悩んだ二人が、決心して、座敷に向かって歩いていくところ。「オー!」とか言ってね。
この場面のいりーなとの芝居は、いつもどうなるかわからない。
昨日の途中までの通しは、ちょっとゆるかったので、今日は通し稽古を始める前に、「のびのびと好きなことをやってくれていいけど、いい緊張のしかたはちゃんとしててね。今日の稽古をだいじに思ってくれるとうれしい」みたいな話をした。
結局、今やってることを、いつか楽しむんじゃなくて、今、ちゃんと楽しんでしまえることが大事なんじゃないかなと、思った。
ていうか、芝居をしてて楽しいときって、もう理屈じゃなくって、考えて考えて用意してきたことじゃなくって、その場に突然生まれてきてしまったものが、舞台を支配してるときだったりするんだよね。
それは「偶然」から生まれてくるものじゃないんだ。
きっちり、やりたい放題な稽古をしてると、その「楽しさ」は必ずやってくる。
逆に、こういう稽古をしてると絶対に楽しい芝居にはならないっていうのも、だんだんわかってきた。
あとは消去法なのかもしれないね。
「こういうのやだ」っていうのの。
わけのわからない言い方でごめんなさい。
そんな場面がひょこっとあってから、今日の通しは、なかなかはずんできました。
でも、後半に比べて、前半がまったりしてるとか(後半がテンポありすぎとも言う)、立ち位置をやっぱりもう少していねいに作った方いいところが何カ所かあるとか、まあ、いろいろ問題はあったんだけど、何とか最後までたどりつく。
今のところ、一番良かった通しは、こないだの日曜日のなんだけど、今日のもまずまずってかんじかな?
「こうすればもっとよくなる!ってところがわかった通し」ってわけ。
歌ちゃんからのおみやげの「ゴディバ」のチョコを食べながら、帰ってくる。
僕といっこうちゃんは、恒例の酒部。
渋谷の駅のホームはものすごい湿気だった。
台風一過なのにね。
電車の冷房はきんきんに効いてて、ほんとカラダに悪そう。
稽古場へ向かう6時から7時への街はすっかり薄暗くなってるこの頃。もう夏も終わりなんだね。
蝉の声にまじって、こおろぎ(たぶん)の声も聞こえてるし。
初日まで、あと7日!
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8月23日(木)
太子堂の稽古。
今日が稽古場での通し稽古のラストだ。
制作の高市氏と二人で、駅前劇場で、打ち合わせ。
通し稽古は、まずまずのかんじ。
ただ、僕はとっても汗をかいてしまって、ドキドキする。
「ひまわり」という芝居は、始まってしまうと一気に終わる芝居だ。
今回の稽古は、さすがの「再演」でなんだかんだと通し稽古ができてる。
いつもの公演で通し稽古をすると「やった……」ってかんじでくたくたに疲れてしまうんだけど、この「ひまわり」はそんなに疲れないでできてしまう。
けっしてラクな芝居ではないんだけども、さくっとできてしまうみたいなね。
でも、今日はちょっと疲れました。
このところの疲れがたまってるのかしら?
初日まで、あと6日!
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8月24日(金)
最後の稽古。
阿佐谷の稽古場。
歌ちゃんの取材でTBSの「エクスプレス」の人達がやってくる。
歌ちゃんは「オールアバウトジャパン」というサイトの「同性愛」コーナー(?)のナビゲーターをしている。
今年で2回目になる新宿2丁目「レインボー祭り」のパフォーマンス部門のしきりもしてる&うちにも出てるので、今年の歌ちゃんは大忙しだ。
そんな歌ちゃんと「東京レズビアン&ゲイパレード2001」をからめての取材になるらしい。
稽古場のおとなりでは「マクベス」の朗読。
今日の稽古場は、一つの部屋を2つに仕切ってるところなので、隣の声がよく聞こえる。
まみーが会議用の机と椅子を片づけたら、「静かにしてください」ってお隣にいわれたそう。
お互い様なんだけどね。
そんなんでおとなりをやや気にしながらの基礎トレと稽古。
取材の人達は、稽古してる僕たちを勝手に録りつつ、時々歌ちゃんにインタビューしてる。
照明のおにさんが来てくれたので、前半を通すことにする。
劇中劇がひとまず終わるところまで。
ここまででも、約1時間かかる。
で、おしまい。
稽古場での稽古はこれで最後だ。
帰りに、稽古場打ち上げをしようということで、みんなでおなじみの「ぱちもん養老之瀧」に行く。
いりーなやまっすーがいたりして、とっても新鮮。
芝居の話をみんなでして盛り上がる。
明日と明後日は、「東京レズビアン&ゲイパレード2001」の前夜祭と当日で稽古はおやすみ。
月曜日は朝9時から劇場入りだ。
初日まで、あと5日!
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8月27日(月)
朝7時、早瀬くんが高円寺に車を持ってきてくれる。
高円寺にある、パンチやら黒幕やら工具箱やらを積んで、早瀬くんは下北沢へ出発。
昨日のパレードとレインボー祭りでくったくただろうに、朝5時起きだって。ほんとご苦労さま。
9時に劇場入り。
荷物をすぐに小屋に入れて、その足で材木やさんへ行ってもらう。ナビゲーターはいっこうちゃん。
しこみはさくさくと進んだ。
今回の「ひまわり」は座り芝居が多いので、舞台面を少し高くした。
といってもほんの少しなんだけど、劇場にある平台全部を元もとの舞台前面にしきつめた。
これで4寸(約12センチ)舞台が高くなった。
駅前劇場というのは、舞台の天井までの高さに比べて、間口がとっても広いところだ。
そのただでさえ横長な舞台の床を上げたので、むちゃくちゃ「ワイド画面」みたいな舞台になった。
舞台の袖は、いつもだと、袖幕を吊るんだけども、今回は、いつもと違うふうにしてみた。
どういうふうんにしたかっていうと、東西幕を使った。
袖幕っていうのは、客席に対して平行に吊る幕なんだけど、東西幕っていうのは、客席に対して直角に吊る幕。
よくわからないかもしれないけど、舞台奥の大黒幕と、上手下手の東西幕で舞台上には、大きな黒い箱ができたことになる。
こうしてみたのは、いつもの袖幕だと、結局、客席からの見切れを避けるために、せっかく広い間口をどかんと狭めないといけないから。
どうせ横長の舞台なんだから、その特徴っていうか味は、ぞんぶんにイカしたいと思ったので。
照明と音響の仕込みが続くなか、僕たちは、床にパンチを貼り、幕を吊り、そして、舞台上の唯一の装置であるパネルをつくる。
このパネルは片面が黒の布張りでもう片面が鏡になってる。
場面ごとに裏返していきながら……っていうのが、この「ひまわり」の初演以来の演出だ。
と、ここで問題発生。
初演のときは、裏にあらかじめノリがついたミラーシートだったんだけど、今回はただのシート。これを、両面テープで貼り付けたら、何だかぺらぺらしてしまって、きれいにならない。
特に血液型がB型のチームが作ったのは、ひどくって、どうしましょうってかんじ。
A型チームはさすがにきちんとしてるんだけど、初演の記憶があるので、どうもイマイチってかんじはいなめない。
A型チームが作ったきれいなパネルを「A子」と名付け、B型チームが作ったよれよれのやつを「B子」と名付ける。
夜になってジャスミンさんが来てくれて、衣装とメークの確認。
ドラァグさん3人衆は、メーク講習会。
いっこうちゃんは、なんだか「江波杏子」そっくりなイイ女になってる。
僕のウィッグをどうするか、なかなか決まってなかったんだけど、今日路線が定まった。
僕的には今までにない新鮮なかんじ。
ジャスミンさんも「アタシたちってほんと現場主義よね」と笑ってた。
夜にはきっかけができるかなと思ったんだけど、明かりをつくるところで今日はおしまい。
明日も一日仕込みだ。
初日まで、あと2日!
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8月28日(火)
今日は照明さんの仕込みを朝からしてもらって、役者衆は12時入り。
週末の疲れがどかんときてて、かなりしんどい。
きっとみんなもそうなんだろうな。
音響のレベルチェックをしながら、きっかけをあわせていく。
ひさしぶりに「芝居」をしてるかんじだ。
続いて、照明のきっかけを。
今回は仕込みが2日あるので、かなりのんびりしたムードなんだけど、だんだんあたふたしてくる。
夜は、音と照明ありで通し稽古をしてみる。
出はけやら早変わりやらを確認しないといけないのでね。
僕はメークはしたけど台本は持ったまんま。
舞台を高くしたせいか、照明がすっごく近い。
なんとか、おしまいまで行って、今日はおしまい。
芝居的にはまずまずかな?
明日は、ゲネプロ。そして初日だ。
初日まで、あと1日!
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8月29日(水)
初日。
ゲネを1時開始にしたので、みんな11時入りだ。
まみーと荒くんとふっちーと早瀬くんは、A子とB子のパネルを直すための材料を買いに東急ハンズ経由。張り合わせるスプレーのりが見つからなくて、遅刻するとの連絡が。
カラダがなかなか起きてこない。
この芝居は、開演前の準備がメークやら何やらで大変なので、あたふたする。
写真撮影の山口さんが来てくれる。
30分押しで1時30分からゲネを始める。
僕は、初めて台本を離した。
芝居の出来はまずまずと言ったところ。
ふっちーにプロンプを頼んだんだけど、あまり(?)お世話にならずにすんだ。
照明は、昨日今日で、目が慣れたのか、最初の頃より、まぶしくなくなった。
ゲネプロの後、問題だった鏡パネルを直す。
両面テープじゃなくて、スプレーのりでべにやとミラーシートを貼っていく。
ぎらぎらした面じゃない、落ち着いた鏡ができあがった。
よかった。
照明の鏡への映り込みっていうのが一番心配だったんだけど、これでずいぶんやわらかくなったと思う。
6時30分の開場に向けて、各自準備開始。
フライングステージは、開演前の客席誘導や前説を出演者も出て一緒にやる。
今回、ドラァグクィーン3人衆は、隠し玉ということで、なしなんだけどね。
そんなこんなであたふたと開演。
できは……
やっぱり芝居ってお客さんと一緒に作るものなんだと実感。
いろんな細かいミスはあったけど、まずまずなかんじ。
何より楽しかった。
終演後、お客様をお見送りする。
みんな楽しんでくれたようでほっとした。
パレードの実行委員のみなさんが来てくれた。
ロビーでパレードのTシャツとCDを販売することにしたので、それを持ってきてくれたついでに。
どのくらい売れるか心配だったんだけど、ちゃんと売れてたみたいでよかった。
みんなは、初日乾杯で拡大酒部活動。
僕は、まっすぐ帰る。
缶チュウハイ一本を小田急線車内飲み。
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8月30日(木)
- 今日は2日目。夜のみの公演。
明日からラクまでは、昼夜が3日間続くので、今日は入り時間をゆっくりにした。
全員集合は夜5時。
劇場は3時から開いてるっていうふうに。
3時に行ったら、ふっちーがいて、それから早瀬くんが来て、ロビーでいろいろなおしゃべりをした。
僕は、たまりにたまったこの日記を一気にアップ。そういうわけで、先週の木曜から初日までの分は、今日まとめて書いたもんです(白状)。
みんながわいわい集まってくる中、「ラヴィ・ソフト」さんからまたしてもビールの差し入れ。
ありがとうございます。
早速、冷蔵庫にしまって、酒部活動に備える。
みんなでやらなきゃいけないことはとりあえずないので、5時に全員集合してもらった時に、ラストの呼びかけをきっちり心をこめてくれるようにお願いする。
後は、さくさくと準備をする。
昼間からずっといたのに、いつの間にか夜で、開場の時間になってる。
一日を劇場で過ごしていると、アッという間に時間が過ぎるよねと、いりーなと話す。
ほんとだよね。バイトしてると、なんでまだ3時なの?なんて考えてるのに。
今日から、くわくんが手伝いにきてくれてる。
弦本淳ちゃんが風邪でダウン。
その分、表方はおおわらわだ。
山縣くんと荒くんとふっちーに出演者が加わって、開場、客入れだ。
僕は、いつもは、外に出てご挨拶してるんだけど、今回はさすがにメークが大変なので、楽屋で準備させてもらってる。
終演後に会えない人がどうしてもいるので、本当は、開演前に会えてしまうのが、いいんだけどね。
どきどきもその方がかえって落ち着くような気もするし。
今日は、唯一ののんびりできる日なので、歌ちゃんと郡司くんは会社帰りに劇場入りだ。
7時頃という話。
二人がほとんど同時にやって来たのが7時前。
ほっと安心して、いよいよ開演。
今日は、昨日に比べるとちょっと少ないお客さん。
でも、ノリは昨日と同じくらいいいかんじ。
大きなトラブルもなく終演。
差し入れでいただいたビールをさっそくいただきながら解散。
僕は、見にきてくれた若さんたちと歌ちゃんと一緒に「にしんば」へ。
きっちり帰ってきて、明日に備える。
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8月31日(金)
今日は昼夜の2回公演。
金曜の昼の2時なんて、誰が見にくるの?ってかんじなんだけど、土日の混雑を少しでも緩和するために、設定した。
それでも、いつもの客席だと、すかすかになってしまうことが予想されるので、客席を微妙にヘラして、お客様を待つ。上手下手の通路をつぶしたりね。
で、開演。
やっぱりかんじが全然違った。
芝居の出来をお客さんのせいにするのはよくないと思うんだけど、「芝居」っていうのが、「台本」と「役者」と「観客」でできてるとしたらば、やっぱりお客さんのノリの違いっていうのは、とっても芝居に関係してくるね。
両サイド壁際の椅子を「撤去」して、桟敷席をゆったりとつくったんだけど、この回に来てくれたお客さまは椅子席だけで収まってしまいました。
ので、舞台と客席の距離がとっても(若干)遠いかんじに。
何度も客席に降りる郡司くんや僕は、きつきつの桟敷にわりこんでいく申し訳なさからは解放されたのだけれど、なんだか、とっても涼しかった(寒いんじゃなくて)。
賑やかに笑っちゃっていいの?ってな戸惑いが始まってしばらくずっとあったみたいで、なかなか盛り上がってこなかった。
でも、それはそれでちゃんとした舞台にはなってた。ほんと。
昼夜の公演の合間に、ご飯を食べに外に行く。
駅前劇場のあるペルモビルの左側、公衆トイレのまたとなりにあるビルに「松菊」さんという定食屋さんがあって、ここは僕のお気に入りだ。もともとは二人して梅ヶ丘に住んでた頃に(一緒にじゃないよ)教えたもらったお店なんだけどね。
何人かで行ったんだけど、ちょうど昼の休憩ということでアウト。
5時まで待つのもちょとtつらかったので、これまた定番の定食屋さん「千草」へ。
ぶりの煮付け定食なんかを食べて、満足。
メーク落としティッシュやら何やら、細々と買い物をして、劇場に戻る。
で、夜の部。
今回は、いつもどおりの客席。
その客席にいっぱいのお客様に来ていただいて、無事終了。
帰りに、タックスノットへごあいさつに行く。
タックさんは、「ひまわり」をとても気に入ってくれて、毎回恒例の初日ご感激におばさまの大塚道子さんと一緒に来てくださった。
大塚さんは俳優座の大ベテランな女優さん、元もと大好きだったんだけど、一度タックスノットでお話ししてからは、なんてかっこいい人なんだろうっていうのも加わった。
タックスノットの毎週金曜日の新人、まさるくんと、わいわい話す。
毎週金曜日に会って、まだ何回かなんだけど、ちゃんと見にきてくれた。すっごいうれしい。
彼は、ロンドンに研修に行ってしまって、今度会うのは、11月だ。
なんて、お店関係のことをこの頃はずいぶん書くようになったけど、実を言うと、フライングステージの「営業」を二丁目でするようになったのは、ずいぶん最近になってからだ。
僕自身がそんなに二丁目に出ることがなかったせいもあるんだけどね。
それがこの頃はどうだろう? たまたま隣り合ってお喋りした人が見にきてくれたりしてる。
それだけ、僕が臆面もなく売り込めてるってことなのか?
でも、そんなふうに一度来てみてくれたひとが、また来てくれてるのは嬉しいな。
今回もそんなふうな、何度かしか会ったことのない人達が、何人も何人も見に来てくれてる。
なんてうれしいんだろう。
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9月1日(土)
11時入り。
小屋入りしてからの時間の過ごし方は人それぞれだ。
舞台で発生柔軟をする人。ロビーでまったりしている人。
開演前にチェックしたり小返しをしたりすることがなくなる楽日前は、みんなのびのびと好きなことをするようになる。
舞台の上では、まっすーといわいわといりーなが何やら、よくわからないゲームをしている。
ドラァグ組は、衣装の準備に余念がない。
僕は、そんな中、衣装のセッティングの確認をして、受付まわりで今日来てくれるお客さんの確認をしたり、急に予約が入った人の連絡をしたり。
そんなこんなで、けっこうあわただしくマチネの開演。
大きなトラブルもなく終了。
じゃないや、あったわ、トラブル。
今日は、このあたりの八幡様のお祭りみたいで朝から駅前にお神輿が止まってた(?)。
イカすお兄さんたち(!)を探したんだけど、収穫はなくて、でも、本番中に太鼓の音が聞こえてきたりしないかしら?と思ってたらば、やっぱり聞こえました。
それも、一番静かな、夜の庭の場面。
まあ、下町の場面だからいいんじゃない?ってな気がしないでもないんだけど、やっぱり焦りました。
客席はどうだったのかな?
舞台は、舞台裏を通って外への道っていうのが意外に近いので、外の音がけっこう聞こえるんだけど、客席は遠いからね。
終演後、松菊さんにチャレンジ。今日は定休日だったので、あえなく敗退。
大戸屋風のごはんやさんで食事。
夜の舞台はとってもいいかんじでできたと思う。
トータルではそんなに違わないんだと思うけど、やってる方としては、この土曜の夜というのが一番しっくり出来るような気がする。
お客さんは今日もいっぱい。
終演後、僕のメール友達の龍さんとご飯。
よしおやいりーな、としくんたちとも合流。よしおが教えてくれたベトナム料理を食べに行く。
ミスドの方に坂を下ったところにあるなかなかかんじのいいお店。
入ったとたんにラストオーダーだったのを無理矢理たのんで飲み食べする。
帰りに僕は今日もタックスノットへ。
龍さんと話したかったんだけど、彼とは新宿駅でバイバイ。
タックスノットでおしゃべり。
郡司くんもやってきて、いろいろ話す。
終電に間に合うように帰ったら、ほとんど同じ時間に歌舞伎町で火事があったことを知る。
ショック。
一瞬、郡司くんのことが心配になったんだけど、まさか歌舞伎町の麻雀喫茶には行かないだろうと納得させる。
でも、あそこで死んだたくさんの人達も、つい何分か前までは友達としゃべってて、「また明日ね」なんて話をしてたんだよね、きっと。
「また明日」って話した人と、会えなくなるのって、すっごいこわくて悲しいことだ。
僕等に明日の舞台があるように、亡くなった人達にも明日の予定やしなくちゃいけないことはきっとたくさんあっただろうにね。
ご冥福をお祈りいたしますです。
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9月2日(日)
千秋楽。
今日も11時入り。各自さくさく準備をして開場、開演。
昼の舞台には、僕の母と妹が見に来てる。
フライングステージを始めたばかりの頃は、わりと見に来てたんだけど、このところずっと見にきてない。
案内も出したり出さなかったりでね。
でも、今回は、「見せないと卑怯」な気がして、無理矢理呼んだ。
「ひまわり」という芝居の健太郎と母と妹の関係ややりとりは、ほとんどそのまんま僕たちの実際の関係が元になってる。
実家で飼ってる犬もおんなじ「モグ」っていう名前だ。
ていうか、それは、初めから、ねらってつけた名前なんだけども。
そのモグが、この夏、死んだ。
「ひまわり」のお話とおんなじで、18歳の老犬だった。
「飼ってください」と言って持ってこられて、学校から帰ってきた僕は、テレビの下に丸くなってるモグを見て、「うさぎみたい」だと思った。
ゲイマガジンにかみついたりはしなかったけど、僕が一番大事にしてた「ラシーヌ全集」をぐしゃぐしゃにしやがった。
葛飾の実家が越谷に引っ越して、それと前後して、僕も妹も弟も家を出たんだけど、そんななか、両親のそばで一番ずっと一緒にいてくれたのは、犬のモグだった。
去年の夏、父が死んで、母はほんとにモグと二人ぐらしになった。
もっとも歩いて2分のところに子沢山の妹夫婦が住んでるから、淋しいってことはないと思うんだけど、僕は、とってもモグのことを頼りにしていた。
これもまんま「ひまわり」と同じだ。
この夏、僕は母親と喧嘩をしていて、それはほんとに他愛のないことなんだけど。それは、父親の一周忌の法事でのことだった。
真夏の法事はいつも暑くてたまらない。もともとが暑がりの母から法事の日程の連絡があったときに、母はこう言ったのだった。「暑いから、喪服とか着てこなくいいから、普段着で」。
「父親の一周忌なのにいいの?」と思わないでもなかったのだけれど、母がそう言うんならと、僕は、すっかりそのつもりで、やや地味なかっこうをして当日お寺に行った。
そしたら……。そんな普段着なのは僕だけ。何、みんな喪服着てるじゃない! それでも、しょうがないので、お墓参りなんかをしてたら、母が来た。喪服を着て。
「何でよ、普段着でいいって言ったじゃない!」と言ったらば、「ワイシャツくらい着てくるかと思った」とわからないことを言う。
そんなこんなですっごいブルーな法事だった。
いつもは口うるさい親戚もあえて、僕の服装のことには触れないし、それはそれで居心地が悪くて、法事の後のお清めはパスして帰ってこようかと思ったんだけど、それも大人げない気がして、最後まで。
ま、そんなわけで、僕は、母親に対してとっても怒っていて、だって、何も言われなかったら僕だって普通に喪服で行くつもりだったんだから、その後、しばらく音信不通状態でいた。
母親から電話があっても、留守電のメッセージが入ってないので、それっきりにほっといた。
でも、あんまり無言の電話(?)が続くので、たまたま、とれるときにかかってきた電話をとったら、それが「モグが死んだ」という知らせだった。
何度か電話したのは、「モグが死にそうだ」という知らせだったそう。
久し振りに話す母は、電話の向こうでモグの死にかたを僕に一生懸命教えてくれて、また泣いていた。
動物をまつってくれるお寺が春日部にあって、きのうそこに「納骨」してきたんだって。
そんな話をしてから、僕は、「今度芝居やるから見に来て」と切り出した。
「モグの話だから、絶対に来て」と話した。
母は、「行けたら行く」と気のない返事だったんだけど、その後、電話をかけて来て「妹と二人で行く」と僕に伝えた。
母が見てても関係ない。いつもとおなじことをするだけだ。
いつものようにきっちり終わって、気持ちよく客出しに出ていった。
母と妹がどんな顔をしてるか、今日だけはどうしても見ておきたかった。
二人はちょっと照れくさそうに出てきた。こんなふうに劇場で会うのは、久し振りだ。
母は「おもしろかった」と言って、「これはだかであれだけど」と言って、ティッシュにくるんだご祝儀を僕に渡して帰っていった。
場内整理のスタッフが「身を乗り出して見てましたよ」と言ってた。
そんなことしたら、後ろの人が迷惑なのに、まったく。でも、うれしかった。ほっとした。
今日はソワレの開演が早いので、間の時間が短い。
バラシの打ち合わせをして、記念撮影をして、すぐに準備にとりかかる。
そして千秋楽の舞台。
いつもフライングステージの公演は、千秋楽の客席がわりと空いてるんだけど、今日は思い切りいっぱいいっぱいだった。
芝居はあちこち言い間違えが多かったけど、無事に終了。
客出しをすませて、すぐバラシにとりかかる。
ほとんど何もない舞台なのと、当日だけ手伝ってくれるバラシスタッフ(ていうかお客さん)がバラシ慣れしてきたので、あっという間に終わる。
いただきもののビールでロビー乾杯をして、劇場を後にする。
今度来るのは、来年の三月だ。
打ち上げは、いつもの魚民。
ようやく読むことを許されたアンケートがぐるぐる回ってる。
夜中までわいわい飲んで、一次会はお開き。
早瀬くんチーフの車両斑と朝まで飲んじゃうメンバーを残して、僕はタクシーで帰宅。
爆睡。
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9月3日(月)
朝6時30分に起こされる。
早瀬くんが運転する返しの車が高円寺に着いた。
「早すぎない?」と思いながら、起きだして、荷物を上げる。
今回の返しでは、今まで高円寺にあったパンチ類をそっくり新しく借りた倉庫に持ってくことになってる。
で、いつもみたいに荷物を上げるだけじゃなくて、おろす作業も。
朝からしんどいことこのうえない。
車に乗ってたのは、早瀬くんといりーなとよしおとまみー。
よかった、これだけ人数がいて。
荷物を積んで、一路、亀戸の倉庫へ。
ジャスミンさんから借りた、初めて行く場所。
朝の渋滞に巻き込まれないうちにという計画はあたって、8時前に亀戸着。
住宅地のすっごい奥にあるその建物に荷物を運び込んで、今度は椅子を返しにセツ・モードセミナーへ。
合間にいろいろとおしゃべりをする。
相変わらずいりーなはとんちきだ。
隅田川のことを「大川」っていうのを知ってなかったり(人形町の生まれなのにどうして?)。
あまりに早くセツに着きそうなので、富久町デニーズで朝ご飯。
それからセツに。
さくっと返して、早瀬くんの家に寄ることにする。
御苑のマンションはとってもすてきなところ、レトリーバーのナッシュくんに久し振りに会う。
むちゃくちゃ大きくなっててびっくり。
思い切り犬くさくなってから、出発。
新宿駅の南口でみんな降りて、早瀬くんは車の返しに。
いつもの返しに比べてむちゃくちゃ早く終わったんだけど、やっぱ疲れたので、僕は部屋で再び爆睡。もう一度起きたら、もう夜でした。
「ひまわり」稽古日記は、これでおしまいです。
アップするのがほんとうに遅くなってごめんなさい。
次は「gaku-GAY-kai2002」なんですが、ちょっとスタイルを変えてみようと思ってます。
このところ、更新が全然できてない「観劇・感激!日記」と一緒にして、稽古場のこともおりまぜつつ「観劇&稽古日記」をスタートする予定です。
どうぞお楽しみに。
せきねしんいち
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