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- 11月22日(水)
- 札幌から帰ってから、僕はフライングステージの稽古に戻った。
先週の土曜日が、最初の稽古だったんだけど、その日は、トレーニングも何もしないで、僕が留守の間の宿題を発表してもらった。
僕が出した宿題というのは、今発売中の「せりふの時代」秋号に掲載されてる、中谷まゆみ作「ビューティフル・サンデー」という芝居を読んでおいてちょうだいというもの。
この作品は、「朝、目覚めた男の横に見知らぬ女性が寝ていた‥‥。『おれの部屋になぜ?』。そこへ男の同居人が帰ってきた。ゲイ・カップルと一人の女性のてんやわんやの騒動のさなか一本の電話が掛かってきた。」(紹介文より引用)というもの。
で、これがとってもよくできてる芝居なんだ。
作者の中谷さんは、テレビドラマ「ぽっかぽか」を書いてた人で、第三舞台の演出助手をしてた人なんだそうだけど、「なんで知ってるの、こんなこと?」ってなゲイないろいろを、ウェルメイドな作風でとても素敵な芝居にしたててる。
正直、こんなに感動した日本のゲイの芝居は初めて。
札幌に出発する前に一度読んでみてもらってたんだけど、こないだの稽古では、僕がいない20日の間に、どう練習したかってのを聞かせてもらった。
三人の登場人物を三つの場面毎にチェンジしながら、なかなかおもしろく聞かせてもらった。
お疲れさまでした。
で、今日の稽古は、これまた僕のいない間にどんどこ進んでた「宇宙ショー」の稽古に全部あてることにした。
郡司くん、森川くんと、ひさしぶりに会う(稽古場でね。「ゴッホ」は見に来てくれてたから)。
まず終わりまでの僕の振りを教えてもらう。僕は、途中から「リリイの子分のパンパン:リッキー」って役なんだけど、このパンパン仲間である山縣くんといっこうちゃんが今日はお休み。でも「代役」で早瀬くんといわいわが、いない二人の振りを完璧に覚えてる!! なんてすごいの?
後で、聞いたら、郡司くんに「覚えてもらいます」と言われて、覚えたんだそう。
途中で、いわいわが「踊ってる」のを見て、みんなで「かわい〜い!」と連呼(最初の「い」にアクセントね。子ギャル風に)。まるで「ぬいぐるみ」が踊ってるみたいなんだもん。いわいわは、「ひまわり」でモグっていう犬の役をやっぱり着ぐるみでやってて、去年のgaku-GAY-kaiでも「新・浦島太郎」の亀をやってた(全身タイツ&こうらを背負って)。やっぱり「着ぐるみ専」なのね。
久しぶりに、大汗をかいてしまった。
最後に通してみることに。
山縣くんといっこうちゃんとよしお(彼はなるみとタイ&カンボジア旅行に行ってしまったので)がいないまま、とにかく通してみる。
で、通ってしまったの! あと一ヶ月もあるのに、本番まで。
もちろん、僕はあちこちがまだアバウトなんだけど、でも、できてしまった。
もう、びっくり。
今日の稽古を一区切りに郡司くんは客演する「アコカ」の稽古に専念。
次の「宇宙ショー」の稽古は彼の本番が終わった12月の26日だ(ちなみに、gaku-GAY-kaiは12月28日)。
だいじょぶ。これならできると安心して、駅までの道をてくてく歩く。
郡司くんからこないだの「ゴッホ」の感想をいろいろ聞く。
楽しんでくれたようでほんと嬉しかった。
で、その後僕は、HIVのサポート団体「ぷれいす東京」の事務所へ。
12月16日(土)に四谷区民ホールで開催される「VOICE」というイベントで上演する「芝居」の打ち合わせのためだ。
フライングステージは去年から、この「VOICE」のお手伝いをしてる。
去年は当日の舞台進行という裏方だったんだけど、今年はなぜか僕が二人芝居を上演することになった。
相手役は「ぷれいす東京」の荒くんという若い男子。
彼が考えてくれたあらすじは、「病院のエレベーターに閉じこめられた二人の男。一人はHIVポジティブ、もう一人は性感染症にかかってる」ってなお話。
これをもとに20分間の二人芝居を書いて、練習して、上演するっていう企画。
今日は、その第一回の打ち合わせ。なんだかんだとあわただしいので、徹夜で朝までの強行軍。
あらすじをもとに、僕が考えてきた物語を「こんなんでどう?」と話して、「じゃ、それでいこう!」ということになった。
細かいいろんなことを打ち合わせて、ほんとは、事務所にあるマックで台本を書いてしまえ!という予定だったんだけど、あんまりすんなり&しっかり細かいところが決定してったので、安心して「あとは僕が書いてくる」ということになり、後はおしゃべり。
アルコールなしのわりには、延々といろんなことを話したなあ。
で、ぼくは始発で帰り、荒くんは、昼間からのバイトに備えて仮眠。
荒くんは、これからしばらくフライングステージの稽古に参加することになった。
高校演劇以来何年ぶりってかんじらしいんだけど、どんなことになるか楽しみ楽しみ。
- 「voice」は他にもいろんな出し物がたくさん。
- メンズ・オンリーなんですが、みなさまのご来場をお待ちしてます。
- くわしくは「ぷれいす東京」のHPを見て下さいね。
- http://ptokyo.gender.ne.jp/
こっちの稽古の進捗も、この日記でお知らせします。
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- 11月25日(土)
- 「贋作・黒蜥蜴」稽古初日。
の予定だったんだけど、台本が「これっぽっちも」出来てないので、基礎トレ充実の日に(ゴメン)。
今日から、ぷれいす東京の荒くんが稽古に参加。
一緒に芝居する相手役なので、できるだけいろんなことを一緒にやっておきたい。
荒くんも、高校演劇から大学ではお能をやってたりして、なかなか演劇系な人。
駅で待ち合わせして、稽古場までの道をおしゃべりしながら歩く。
例によって、だらだらとみんなで体を動かしながら、稽古場でもなんだかんだとしゃべりまくる。
この、いい加減なかんじがやっぱりとっても心地いい。
なんて言ってられるのは、今のうちで、本番が近くなったら、「しゃべってる暇があったら、稽古よ!」ってことになるんだけど。
今日の顔ぶれは、まみーにまっすーにいわいわに早瀬くん、それから森川くんに荒くんと僕。
みんなでストレッチをしたあと、札幌でやってたマッサージを二人組になってやってもらう。
「おしゃべりしながら、なるたけ交流して」と言ったら、ほんとに和やかなおしゃべりタイムになった。
フライングステージはわりと一人一人の距離が近いトレーニングをしてたつもりだったんだけど、こうして実際に誰かの体に触れるのは、実は久しぶりだったりする。
「あー、気持ちいい」なんて、真剣なマッサージになってるところもあったりして(森川・早瀬組)。でも、それでぜんぜんだいじょぶ。
そのあと、やっぱり札幌でやった「ドライブ」をしてみる。
同じ二人組で、一人が運転手でもう一人が車になるやつ。
僕は二人組からはずれてずっと見てたんだけど、もっとお互いの信頼関係が成り立ってるかと思いきや、「暴走」してる組が多かった(特に、まっすー)。
「だいじょぶ、わかってる」って安心感が、相手をじっと見るってことを少しアバウトにするのかもしれない。
でも、とってもおもしろかったので、またやろうと思う。みんなどう変わってくのか楽しみ。
そのあと、部屋を「隙間のないように」歩きまわってもらう。
これも札幌でやってたこと。
フライングステージでもよくやるけど、いつものアレンジバージョンってかんじかな。
歩くエリアを広げたり、せばめたり、いろいろやってみる。
荒くんは、全くの初めてなのに、よくついてってくれてる。
もっとも、初めての人だって一緒になってできることしか、うちのトレーニングではやってないんだけど。
この「歩きまわり」では、せまいエリアを体をほとんど密着させながら移動させるときに、どうしても「あぶれて」しまってたかんじ。
みんなして「クマノミ」の群れみたいになってるんだけども(団子状態)、一人、ボー然と立っちゃってるみたいな。
ここで、一息いれて、「顔合わせ」らしきことをしてみる。
「贋作・黒蜥蜴」の思いつきの発端と、お話の説明、それから、配役の発表。
ネタにした京マチ子主演映画版「黒蜥蜴」の説明をだらだらする。
森川くんに渡そうと思ってたビデオを忘れてきてしまって、大失敗。
これを読んでるみなさんにも、ほんとおすすめ。美輪さん主演の深作欣二監督のが有名だけど、この井上梅次監督版は、もうイカしまくり。
黒蜥蜴に京マチ子、明智小五郎に大木実、令嬢早苗に叶順子、青年雨宮に川口浩という、豪華なんだか地味なんだかよくわからない顔ぶれ。
でも、スタッフはまじで豪華。原作はもちろん江戸川乱歩、これを劇化したのが三島由紀夫。で、この映画ではシナリオを新藤兼人が書いてる。で、劇中に登場する「ミュージカルナンバー」を作詞したのが三島で、作曲は黛敏郎。ね、豪華でしょ。
このとっても豪華な人達が、なんだかひざから崩れ落ちそうになる、キッチュなものをこしらえてるんだ、これが。
「せりふの時代」のインタビューで美輪さんが、「京マチ子さんなんて世界的な女優さんが主演した映画でも、不入りで一週間でうち切りになった、そんないわく付きの舞台」なんて話してたけど、それも納得ってかんじ。
冒頭からミュージカルだし、剥製のはずな美男美女はマチ子の鞭で踊らされてるし。
どうぞ、見てみてね。
今回の「贋作・黒蜥蜴」は、そこまでミュージカルじゃないんだけど、オリジナルの「黒蜥蜴」とはちょっと設定を変えてみた。
どこかで美輪さんが、「私たちはニセモノだから、舞台の上だけではホンモノを身につけないとね」と言ってたんだけど、僕は「そんなのやだ!」と思ってる。ニセモノのどこが悪いのよって。
というわけで、「贋作・黒蜥蜴」の黒蜥蜴は、ニセモノで美しいものしか集めない女盗賊。
「ごらんなさい、このマッチョ、なんて美しいのかしら。でも、中身はオンナよ」
男装、女装、何でもありのうちの舞台だけども、今回はそんな「ニセモノ」ばっかりなお話にしようと思う。
配役は、緑川夫人こと黒蜥蜴を僕、明智小五郎を森川くん。令嬢早苗さんをドラァグクィーンのアルピーナさん(一昨年のgaku-GAY-kaiでやった「新・シンデレラ」のシンデレラは最高!)、雨宮をまっすー。黒蜥蜴の手下、家政婦ひな=青い亀をまみー。早苗の父、岩瀬をいわいわ。岩瀬邸の用心棒を早瀬くん、女中をよしお(ここはあえて逆にしてみました)。明智の部下、小林少年をのぐ(原作には出てきません)。それから、これまた原作には影も形もない、黒蜥蜴の母、先代黒蜥蜴=赤蜥蜴に高市梅莟。それから、黒蜥蜴はエヂプトの星ってダイヤを盗むんだけど、このダイヤがかざられるゴージャスな「花の形をした台座」(原作に指定があるの!)に、ドラァグクィーンのジャスミンさん(装置がないので。「やってくれる?」ってこわごわ聞いたら、「衣装はあれでいいかしら?」って快諾してくれました)!
そんな「贋作・黒蜥蜴」です。どうぞご期待下さい。まだ、台本できてませんけど。
「顔合わせ」っていうか、言い訳の会の後は、フライングステージのいつものトレーニング。
拍手を回したり、しりとりをしたり。
みんな久しぶりなので、あちこちでつっかかるかんじがおかしい。
いつもやってる同じコトは、久しぶりにやると、その時の自分の状態がすぐにわかる、とってもわかりやすい目安なんだと気が付く。
しりとりでは、まっすーがまたしても大ボケをかます。「ロンパリ」の後に「パリパリ」とか言ってるし。しかも「高い声でやるしりとり」の時に。だから、それはしりとりじゃないって! みんな悶絶してしまう。
時間が来たので切り上げて、帰り道をまた、わらわらしゃべりながら歩く。
荒くんから「『オープニング・ナイト』の舞台で見てたトレーニングが、あれって誇張でしょって思ってたんだけど、やってみるとほんとに結構むずかしいんで、びっくり。でも、おもしろかった」との感想をいただく。
で、その後、僕は、荒くんとぷれいす東京の事務所で「VOICE」の台本の仕上げ。
徹夜して昼まで書いてたのを二人で確認して、ああだこうだと手を入れる。
「やったー、できた!」ってところで、読み直してみたら、20分の予定が15分で終わってしまった。芝居でふくらむところもあるし、小ネタをもう少し入れてってみようか?という話をして、でも、今日のところはこれでよしとする。
またしても僕は始発で帰って、荒くんは、日曜日の昼間からの「電話相談」のために今日もお泊まり。
彼は、また水曜日も稽古に来てくれるそう。アルピーナさんも来てくれる。
今度こそ、「贋作・黒蜥蜴」の台本にとりかからないといけないな(当たり前だ!)。
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- 11月29日(水)
- 今日、ようやく「贋作・黒蜥蜴」の台本を持っていく。
といっても最初の場面の5ページだけ。
登場するのは、僕の緑川夫人こと黒蜥蜴とアルピーナさんの早苗さんとまっすーの雨宮だけ。
まっすーは「風邪がいまいち治らないので」ということで、お休み。
今日から、アルピーナさんが稽古に参加してくれてる。
最初に台本を配って、目を通してもらってから、みんなでトレーニング。
今日の顔ぶれは、いわいわ、まみー、早瀬くん、のぐ、高市氏に、森川くんに荒くんとアルピーナさん、それから僕。
久しぶりに大人数な稽古場だ。
いつものストレッチ&筋トレの後、マッサージとこないだの「ドライブ」をやってみる。
今日が初めての、のぐと高市氏とアルピーナさん。
のぐは森川くんとコンビでなかなかいいかんじ。
アルピーナさんはいわいわと一緒に楽しそう。
高市氏は、まみーとだったんだけど、運転手の時は、がんがん壁や椅子(障害物)にぶつけるし、逆に車のときはどんなにまみーがさくさく運転しても、「よちよち」としか歩かないし。まみーは怒ってた(当然だ)。
その後は、またしりとりまでの流れ。
しりとり初体験のアルピーナさんが、ナイスなボケ(天然)を連発。
「もなか」「なっとう」っていう、まるでまっすーみたいなボケをしてくれた。
アルピーナさんは、後で「しりとりが出来ないってことがショック」って言ってたけど、しりとりってたしかに「照れくさい」遊びなんだよね。
どんな言葉を口にするかってことで、ボキャブラリーがばれてしまうし、「何でそんな連想するわけ?」ってなことを勘ぐられる(?)のは、結構恥ずかしいもんだ。
だから、そんなこと全然気にしないで遊んでた子供の頃って、すごかったんだなと思う。
あ、照れくさがってる大人の今が情けないってことか?
アルピーナさんがうちの稽古に来るのは、一昨年のgaku-GAY-kaiの「新・シンデレラ」のとき以来。そのときは、全然トレーニングなんてやらなかったんだよね。
でも、今回はいろいろやってもらおうと思ってる。
「上手にできるような体づくり」のためじゃなくて、みんなでもっと楽しく遊べるための準備のつもりでね。
で、読み合わせをしてみる。
今日はいない雨宮役のまっすーのかわりをいわいわにやってもらう。
頭から読んで、約5分。全体の十分の一ですね(笑)。
大阪のホテルの一室。早苗さんと緑川夫人が話しているところへ、雨宮を呼んできて、二人して、早苗さんをバッグに詰めて運び出してしまうまで。
アルピーナさんは、舞台の経験なんてまるでないのに、やっぱりとってもおかしくていいかんじ。
一昨年のシンデレラも最高だったけど、今回の早苗さんもどんなボケキャラをつくってくれるか楽しみだ。
オリジナルの三島のセリフのテイストを生かしてあるので、かなり「重たい」説明の場面なんだけど、とりあえず、五分でいろんな説明が終わってよかった。
重厚なセリフ(or華麗)の合間合間の「超安い」ボケをアルピーナさんがうまく生かしてくれてる。
僕も久しぶりの「女役」なので、存分にセリフ遊びができて楽しい。
早苗さんをバッグにつめてしまってから、一気に伝法な女になるところとかね。
この日記をアップしたら、続きを書こうっと。
次は、「黒蜥蜴が早苗さんになりすます場面」から「明智と黒蜥蜴の対面」、それから、「早苗さんがいない!」「犯人はここにいます」まで。ここまでで20分くらいかな。
今日もそうだけど、書くだけ書いて、あとで削ってこうと思う。
稽古場での追加もあるし、そんなラフな、気負わない作り方をしていこう。
終わって、荒くんに「12月は『VOICE』と『gaku-GAY-kai』全然違う役ができてうれしいな」と話したら、「ほんと全然違いますね。台本も全然違うし。関根さんのびのびしてるし」と言われる。
たしかに「VOICE」の台本みたいに「気を使いながら」は書いてないからね。ていうか、やりたい放題なので。「VOICE」の台本も、もう少しのびのびしたタッチになるといいかもね。こっちも稽古場でいろいろやってみよう。
今晩は、予定していた「VOICE」の徹夜稽古はなし。
そのかわりに「贋作・黒蜥蜴」の台本書きだね。
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