Love Song
ラブソング

関根信一

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<上演記録>
【初演】劇団フライングステージ第19回公演
 2001年4月12日(木)〜15日(日) 下北沢 駅前劇場
[作・演出]関根信一
[出演]岩井智彦・石関 準・関根信一・早瀬知之・増田 馨・森川佳紀
    吉岡亮夫
[照明]おにいつみ
[音響]樋口亜弓
[挿入曲]「In The Night」by Kota (First Class)
[衣装]石関 準・ジャスミン
[宣伝美術]Matsuura Hiroyuki
[ビデオ撮影]秋本徹也
[写真撮影]山口規子
[協力]天野剛司・荒 俊樹・井上泰宏・入山直子・久和侑史・郡司明剛
    三枝 黎・弦本 淳・野口清和・ますだいっこう・水月アキラ・山縣真矢
[制作]高市梅莟


【当日パンフレットより】

 はじめに‥‥。いつもチラシの紹介文と「全然違うお話」になってしまうフライングステージの公演ですが、今回は予想通りのお話になってると思います(たぶん)。ああ、よかった。
 「Love Song」というタイトルに決めてしまったので「やっぱりLove Songを聞いておいた方がいいよね」と思って、いろんな曲を聴き始めたんですが、大変なことに気がつきました。およそ「歌」と名の付く(?)もので「愛」を歌ってないものってないんじゃないの?
 というわけで、あっさりあきらめて、「これまで知らなかったとびきりのLove Song」を探すことはやめたんですが、それでも、今回の「Love Song」の中にはいくつもの素敵なLove Songが流れます。
 その中の一つ、何度も繰り返し流れるピアノ曲は、エリック・サティの「あなたがほしい」です。原題は「Je Te Veux」。何だか聞いたことのあるこのピアノ曲が、こんなタイトルだと知った時はかなりびっくりしました。だって、すごくありません? 英語で言ったら「 I want you」なわけだから。
 この曲にはかなり熱烈な歌詞が(いかにもフランス風)ついてるんですが、今回はずっとピアノ。「あなたがほしい」なんてまっすぐな思いを軽やかなピアノに乗せてつたえられるなんて、なんてかっこいいんでしょうね。そんな「言葉にならないモノが伝わる」ってことが僕は大好きです。できれば、芝居もそうありたいもんです。
 さて、いつもいろんな「ゲイ用語」が出てくるフライングステージの芝居。あんまり「大変そう」なときは、解説したりしてるんですが、今回は「そんなに」難しいのはないので、省略します。一応劇中で説明はしてるつもりなんですけども‥‥。わからない言葉があったら、近所の誰かに聞いてみて下さい。聞かれた人は教えてあげてね。
 台本を書くときにいつも悩んでしまうのは、まずは登場する固有名詞の決定なんです。でも、今回はかなりラクをさせてもらいました。人物名は、去年の夏に講義をさせてもらった大学の学生くんたちの名前から。店名は「実際にあるもの」をそっくりそのまま使わせてもらっちゃいました。といっても、このお芝居は完全なフィクションなので、一応「実在の店名・人物名等とは全く関係ありません」と言っておきます。
 あ、一つだけ説明をしておかないと。
 「シドニーのマルディグラ」っていうのは、毎年2から3月にかけて、シドニーで開催されるゲイフェスティバルです。今年で23回目。その規模はほとんど世界最大。世界中からやってくる観光客は100万人を超えて(ほんとに!)、市長や州首相、連邦政府の野党党首ら主だった政治家たちも応援のメッセージを送ってくる、まさに「無視できない」イベント。メインのパレードの他にもさまざまなパフォーマンスが繰り広げられる、それはそれは楽しい約1ヶ月です。東京でもゲイパレードは夏に開催されてるんですよ。くわしくは「お知らせ」のページをご覧下さいね。
 それでは、間もなく開演です。
 今回の主人公、高橋央樹(ひろき)くん(29歳)が駆け抜ける、夕方から翌日の朝までの約12時間の物語をどうぞごゆっくりお楽しみ下さい。(関根信一)